掲示伝道(5月no1)
「 知らないことよりも 知っていることのほうが 人間をせばめるのです 」宮城顗師
私たちは生まれてこの方、さまざまなことを学び、経験し、自己を確立して生きています。また、そのようにして、より多くの知識や経験を得ることが人間を豊かにすると信じています。
しかし、仏さまの眼から見れば、私たちが得た知識や経験によって確立した自我意識こそが、私たちを縛りつけ、苦しめているというのです。物事を判断する知識や経験があることは、決して悪いことではありません。しかし、そのことに固執し、目の前の出来事を自分のモノサシでしか判断できなくさせてしまうことにもなります。
私たちは自分で握りしめているモノサシ、自我意識が常に正しいという立場にたって、善悪・優劣・勝敗・損得等々と、分別していきます。その在り方がいかに自分自身を狭く、苦しいものにしているのか。
親鸞聖人は、『正像末和讃』のなかで、
よしあしの文字をもしらぬひとはみな
まことのこころなりけるを
善悪の字しりがおは おおそらごとのかたちなり
とおっしゃっておられます。私の握りしめている自我意識はすべて嘘偽りであると仏さまの眼は見抜かれておられます。その仏さまの智慧の眼によって、自我意識を破られてこそ、私たちにありのままを受け入れていけるように広い世界があたえられるのではないでしょうか。
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