掲示伝道(6月no3)

「 露の世の露の中にて喧嘩哉 」小林一茶詠


 たしか弘法大師と記憶していますが、「徒らに秋葉の風をまついのちを頼むで、朝露の日に催す容を養う」とのお言葉があったと思います。風に吹かれて一瞬に散って、木の葉のような、また陽光も照らされて間無しに消えていくような果敢無い身でありながら、世の人はその果敢無い身を一生懸命養い、化粧し、着飾ることに心奪われ、人間として最も大事なことを忘れていないかとのみ教えと思われます。一茶翁の此の一句も「人はみな朝露のように儚い身でありながら、なぜそれ程迄に目角立てて啀み合わなければならないのか。尊い人間としての〈いのち〉を授かりながら啀み合うばかりで終焉を迎えるとしたら、あまりに空しく悲しいことではないですか」と私たちに問いかけてくださっている一句ではないでしょうか。「露の身」であることを自覚し、一日一日を大事に生きていきたいものです。

真宗大谷派 霊苔山 金相寺

親鸞聖人の「南無阿弥陀仏」のみ教えを共に聞法するお寺です