掲示伝道(5月no1)
「 拝むことを忘れた手は 人を殴りものを盗む手となる 」
先日、私は或る友人の誘いを受けて信州木曽路を旅してまいりました。その折、或る古刹をお参りさせていただいたのですが、まず本堂にお参りしようと本堂に向かうと、向拝の下で六十前後の初老の婦人と、その方のお孫さんと思われる十歳くらいの男の子が二人揃って静かに掌を合わせてお参りされていました。その姿を見て、私は目頭が熱くなるのを覚えました。このお二人が同居されているのか否かは知るべくもありませんが、此のお二人の過程はさぞ安らかで落ち着いた美しいご家庭を築いておられるのだろうと垣間見える思いが致しました。掌を合わせて拝む人の姿程美しいものはありません。何故なのでしょうか。
人間社会は「右翼、左翼、男性、女性、若人、老人、賢者、愚者、善人、悪人」とうとう差別相対の世界でありますが、相対する者同士が互いに認め合う姿、それが右の手と左の手を合わせた合掌の姿に表現されている様に思われます。互いに認め合う合掌の心を失うと、人は啀み合い奪い合う醜い世界になっていくのではないでしょうか。
0コメント