掲示伝道(2月no1)

「 生かさるる よろこび匂う 春の梅 」


この句の詠人である中村久子女史は、幼い頃、壊疽という病に罹り、両手両足を失い、健常者には想像も及ばぬご苦労をされながらも、七十一年の生涯を生き抜かれたお方です。

手があり足があることを当たり前のごとく思っている私たちも、せめて一日でも手枷足枷で過ごしてみれば、中村久子さんのご苦労の「九牛の一毛」なりとも感得することができるでしょうか。想像を絶する苦難の人生を歩まれたお方なればこそ、梅花の香りにも生かされてある身であると、重く深く喜びを懐かれたのでしょうか。私たちも春先の樹木の芽吹きを通しても、生かされてある身の尊さを重く重く心に受け止めて生きたいものです。

真宗大谷派 霊苔山 金相寺

親鸞聖人の「南無阿弥陀仏」のみ教えを共に聞法するお寺です