掲示伝道(11月no2)
「 貧を貧と思わざれば富なり 富を富と思わざれば貧なり 」清沢満之
科学技術の発達に伴い、物質的に豊かになり、よりよい環境を手に入れた現代を生きる私たちですが、その発達はまさに私たちの欲望によって成り立っています。そして、その欲望には底がありません。どれだけ豊かに、そしてよりよい環境を手に入れようとも満足しないのが私たちです。もっと、もっとと貪り続けた結果、地球沸騰化と言われるような環境を生み出してしまい、自然災害も年々激しくなっていり、生きることそのものが脅かされるような事態を生み出しています。
仏教はそのような欲望に支配され、迷い苦しむ私たちの相を教え、自体満足の世界を教えてくださっています。人にとって〈ほんとう〉に豊かな生活、生き方とはどのようなものでしょうか? 『仏説無量寿経』では、仏弟子としての生活規範として「少欲知足(欲を少なく、足るを知る)」と教えてくださっています。人として〈ほんとう〉に豊かに生きるということは、すでに自体満足である我が身に目覚めることではないでしょうか。そのためには、仏さまの智慧の眼に、我が思いを破られなければなりません。どこまでも煩悩を持ってしか生きられない罪悪深重煩悩熾盛の凡夫としての私ですが、〈ほんとう〉の世界に目覚めてみれば、煩悩の身のままに、確かな歩みを歩むことができることを教えてくださっているのが、仏法なのです。清沢満之師はそのことを教えてくださっていると受け止めさせていただいております。
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