掲示伝道(8月no2)
「 他人の人間性を無視すれば 必ず自らの人間性も失っている 」和田稠
昨日、終戦78年の記念日を迎えました。世界を見渡せば、平和など程遠く、争いが続いています。日本でも防衛費増強、反撃能力保持が閣議決定され、タレントのタモリさんが2023年は「新しい戦前になるのではないか」と語り話題となりました。戦後の平和主義から一転して、戦前の軍国主義に似た状況になりつつあることを危惧したものではないかと思われます。
争いとは、常に正義を主張するところから始まります。そして、自らが握りしめる正義のもとに、相手の人間性を無視して、相手を傷つけ自らを守ろうとするのが人間なのでしょう。そこで実現されるものは、私にとっての平和であって、誰にでも実現する平和ではありません。
宮沢賢治は
世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない
(『農民芸術概論綱要』)
と言いましたが、人間が自己中心的に生きているうちは、〈ほんとう〉の平和や幸福などありえないのでしょう。
それは、和田先生がおっしゃるように、自己中心的な我が「他人の人間性を無視」するような我であり、またそれは同時に必ず「自らの人間性も失っている」我だからではないでしょうか。
仏教とは、そのような私に〈ほんとう〉のいのち、自他一如の等しき尊いいのちを教え、自他共救われていく道を指し示しているのではないでしょうか。
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