掲示伝道(10月no2)
「 波の音 聞かじと思ひ 山籠り
苦は色変えて 松風の音 」明恵上人詠
人はよく心の安らぎを求めて、いろいろな景勝の地へ旅することがありますが、例えば海岸沿いを旅した折、海辺近くの宿に宿泊した折など、まだ明るいうちは快く感じられた寄せては返す波の音が、夜寝床に入り眠ろうとすると耳障りとなり、なかなか寝付くことができないといった経験がおありではないでしょうか。その経験から、今度は山間に旅をすると、川のせせらぎや松風の音が耳障りとなり寝付けなくなったりします。
これは一つの例ですが、私たちに嫌悪の心といいますか、物忌む心を懐く限り、手を替え品を替え、何処に逃げようとも、苦しみの種は尽きないものと思われます。自分を苦悩させる物柄が外にあるというよりも、我にその物柄を苦悩と受け取る心の解決こそが大事なのではないでしょうか。
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