掲示伝道(8月no1)

「 道念なき人は 甘言者に親しみ 苦言者を厭う 」 


「孟母三遷の教え」と云うことがあります。人として立派なお方の多くは、お育てになったお母さまが偉いというか、大変厳しくお育てになられている様であります。

ここですぐに思い出されるのが、恵心僧都のお母さまであります。僧都は九歳で出家されるのですが、その折、お母さまは「汝が僧として大成するまで、母は決して其方と会うことはない。若し志ならずは、これが永の訣れと覚悟しなさい」と言い含めて、涙とともに愛する我が子を厳しい厳しい比叡の山へ送り出されたのです。

また、僧都が十五歳の若さで宮中での講者となられ、天皇より布帛を賜りし折、それを母も喜んでくださるだろうと母のもとに送ったが、お母さまは「名利の僧になることを願って汝を比叡のお山に送ったつもりはない」と、その布帛を送り返したとのことであります。

「この母にして、この子あり」ということを強く感じます。親に甘く育てられた人は、どうしても耳触りのよいことを言う甘言者に親しみ、近寄り、厳しいことを言う苦言者は厭い、遠ざけることとなり、故に人としての成長は望めぬということになってしまうのではないでしょうか。

真宗大谷派 霊苔山 金相寺

親鸞聖人の「南無阿弥陀仏」のみ教えを共に聞法するお寺です