掲示伝道(7月no3)

「 持つ人の心によりて 宝とも仏ともなるは 黄金なりけり 」


孔子十哲の一人、顔回は孝心篤き人として知られていますが、或る時、顔回が街中を歩いていて、飴屋の前を通りかかり、ふと目にとまったのが水飴。「近頃歯の弱くなった老母にこの水飴を買っていってあげれば、さぞ喜ぶだろうな」と思いながら水飴を見詰めていたとのこと。その顔回の脇に同じ様に水飴をじっと見詰めている一人の男がいました。この男こそ当時の大盗賊盗跖で、同じ水飴を見詰めながら心に抱いたのは、「盗みに入った屋敷の襖を開ける時、敷居にこの水飴を流し込めば、音もなく開けることができるのでは」ということでありました。多くの人が追い求める財貨ですが、その財貨を得ることによって、自身と共に廻りの人々をも助かる活きた使い方をする人もあれば、金銭を得たばかりに、放蕩して身を持ち崩す人もあります。人の世は、何事も心の向きが大事だということではないでしょうか。

真宗大谷派 霊苔山 金相寺

親鸞聖人の「南無阿弥陀仏」のみ教えを共に聞法するお寺です