掲示伝道(7月no1)

「 本願力にあいぬれば むなしくすぐるひとぞなき 」 


此の世に生きる多くの人は、地位や名誉、財を得んとして努力し、頑張って生きているのでしょうか。武力を駆使して多くの人を殺戮し天下人になった豊臣秀吉は、断末魔に「露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢」の辞世を遺しております。また、文豪森鴎外の最期の言葉が「馬鹿馬鹿しい」であったと聞いております。この「馬鹿馬鹿しい」が、六十年の生涯を顧みての感慨であったとすれば、豊臣秀吉も森鴎外も、多くの人が追い求めている地位・名誉・財等を勝ち得た代表者といえましょうが、最後に残ったものはただ虚しさだったように思われます。

此処にある「本願力」とは、一切の差別を超え、一味平等の安らかな世界に凡ての衆生を救い取らずにはおかぬと云う阿弥陀如来の願力、その願力の信心を戴けば、それがどのような人生であろうと有難く有意義な人生として歩むことができるということではないでしょうか。

真宗大谷派 霊苔山 金相寺

親鸞聖人の「南無阿弥陀仏」のみ教えを共に聞法するお寺です