掲示伝道(4月no2)

「 死支度 致せ致せと 桜哉 」


「春嵐」などといいますが、春は強風が吹き荒れる季節でもあります。桜が見事に咲き誇ったかと思えば、春の嵐にさらされ、一瞬に桜吹雪と散ってしまいます。

諺に「石火光中此の身を寄す」とありますが、目まぐるしく移り変わる世の中に気を取られて、ふと我にかえると「紅顔むなしく変じて 桃季の装を失っている我が身」に気付かされるのではないでしょうか。

一茶翁は桜の花の散るすがたを眺めながらも、明日をも知れぬ身でありながら「勝った負けた、損だ得だ、好きだ嫌いだ」といった、どうでもよいことに現を抜かし、なぜ「後生の一大事」に気付かんのだと、桜が自分の身を散らせながら人間に呼びかけているといった感慨を懐かれたのではないでしょうか。

真宗大谷派 霊苔山 金相寺

親鸞聖人の「南無阿弥陀仏」のみ教えを共に聞法するお寺です