掲示伝道(10月no1)
「 世の中に最も度し難いのは 他人ではなく この私 」
私たちの煩悩が生む苦しみの世界を仏法では「三悪道(地獄・餓鬼・畜生」として教えます。そのなかでも最も苦しい世界と言われる地獄の世界とは、自分の思いどおりにならない苦しみの世界だと言われます。
私たちは、日頃感じる苦しみや悩みは、外に原因があるかのように思っています。人間関係で考えれば、誰もが思い当たる節があるのではないでしょうか。家族や会社の同僚、友人関係、すべて思い通りにならないのは、「あいつが悪いからだ!」と思い、思い通りにならない相手を責めたり、恨んだりしていないでしょうか。
しかし、苦しみの原因は外にあるのではなく、その私の思いにあると教えるのが仏教です。ですから、周りが思い通りにならないから苦しいのではなく、この私が何よりも思い通りにならないから苦しいと言えるのではないでしょうか。
なぜ、思い通りにならないのか。それは「私」という存在が「諸行無常」「諸法無我」なる縁起存在だからです。あらゆる存在は縁によって起こっている存在であるということは、どこにも固執すべき「私」などどこにもいないということです。そうであるにもかかわらず、「私」という存在が確かに変わることなくあるかのように執着し、思い通りにならない私は私ではないと、ありのままの我が身を引き受けることができずに苦しんでいるのが私たちです。
このありのままの我が身に目覚めさせてくださるのが、仏法です。決して自分の思いを満たし、叶えてくれるものではないのです。しかし、ありのままの我が身に出遇わせていただくことこそが、最も大事なことであることを仏法は教えてくださっています。
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